コモンモードフィルター作成 <common 1.アンテナ系 2.電源系 >
電波障害、回り込み、ノイズなどの対策と効果を期待してコモンモードフィルターを作成して取り付けています。
その忘備録です。
【1】アンテナ系のコモンモードフィルター作成
ATUオートアンテナチューナーの同軸ケーブルとコントロールケーブルの両方にコモンモードフィルターを取り付けています。
▼使用材料
- フェライトコア: FAIR RITE 5943003801(FT240#43相当)
- 同軸ケーブル用: 同軸ケーブルRG-58A/U(50Ω)⇒ 線径は5mmと細くて柔らかいので巻きやすい
- コントロールケーブル用: 4芯シールドケーブル ⇒ 線径は5mm弱 の巻きやすいものを使用
- ロックタイ(結束バンド): 線を固定するのに使用
- コネクター部品
▼作成
1)同軸ケーブル用
フェライトコアを2個直列にして、1コアに15ターン=W1JR巻き、2個直列= 計30ターンで作成。
同軸ケーブルの両端、すなわちトランシーバー側とATU直下のそれぞれに挿入。
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同軸ケーブル用コモンモードフィルター |
2)コントロールケーブル用
ATU直下用にはフェライトコアを2個直列にして、1コアに17ターンW1JR巻き、2個直列=計34ターンで作成。
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ATUコントロールケーブル用コモンモードフィルター (ATU直下) |
トランシーバー側用にはフェライトコアを1個にして、17ターンW1JR巻きで作成。
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ATUコントロールケーブル用コモンモードフィルター (トランシーバー側) |
▼LCRメーターでインダクタンスを簡易測定してみた
・同軸ケーブル用
1)RG-58A/Uを15ターン×2個直列⇒ 1KHz測定 462~489μH、100KHz測定 446~473μH
2)RG-58A/Uを15ターン×1個⇒ 1KHz測定 221~280μH、100KHz測定 205~215μH
・コントロールケーブル用
1)4芯シールドを17ターン×2直列⇒1KHz測定596~618μH、 100KHz測定575~595μH
2)4芯シールドを17ターン×1個⇒1KHz測定272~340μH、 100KHz測定240~263μH
▼結果/効果
シャックからアンテナまでのケーブルへの回り込みは見られず、家中にある周辺機器(テレビ、ビデオ、オーディオなど)へのインターフェアもありませんでした。
アンテナ系のコモン対策はこれで良しとしました。
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2階ベランダに設置のATU接続線に コモンフィルターを挿入 |
【2】電源系コモンモードフィルターの作成
電源系には線を挟むだけのクランプフィルターが簡単・便利なので多用しています。
昔、アンプI対策にクランプフィルターを取り付けて、インターフェアが無くなった経験があり、不要な回り込みがこれで防げ、効果があると信じて使用しています。
▼使用しているクランプフィルター
1)ZCAT3035-1330 太い線用
2)ZCAT2235-1030 一般的な太さの線用
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上: ZCAT3035-1330 下: ZCAT2235-1030 |
▼LCRメーターでインダクタンスを簡易測定してみた
メーカーのデータシートが参考にできますが、自分なりに知りたくてLCRメーターで簡易測定してみました(f=100KHz)
- ZCAT3035-1330 測定値⇒1ターン=3.89μH、2ターン=13μH、3ターン=29μH、4ターン=51μH、5ターン=81μH
- ZCAT2235-1030 測定値⇒1ターン=2.65μH、2ターン=13μH、3ターン=27μH、4ターン=47μH、5ターン=76μH
- 両方とも同じ材質ですのでほぼ同様の結果でした。
▼使用状況
トランシーバーとつながっているケーブルのほぼすべてに取り付け、特に電源系は重点的に取り付けています。
- 外部電源までのDCラインは太いので、ZCAT3035-1330に2ターンにして8個連続で取り付けています。
- 外部電源のACラインには、ZCAT2235-1030を使って10個連続で取り付けています。
- 無線機につながっているマイクコードやUSBラインなどには、ZCAT2235-1030に3ターンしたものを取り付けています。
▼結果
目に見えた効果はさほど感じませんが、アンテナ系のコモンモードフィルターと合わせて行うことで、TVI等のインターフェアは防げています。
▼補足
- W1JR巻は7/ 8ターン巻いた後、折り返し時にコア内を通してから7/8ターン巻くので計15/17ターンとなります。
巻きはじめと終わりが反対方向になるので扱いやすいです。
- 測定に使用したLCRメーターはDE-5000です。重宝しています。
- コアの巻き数、必要な長さ、各バント(周波数)におけるインダクタンスなどはWEBページ< https://toroids.info/FT240-43.php >を利用させていただきました。複雑な計算が瞬時にでき、便利で感謝です。
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LCRメーター DE-5000 |
- 今回のコアは2012年頃に購入したもので、当時の価格は今の1/4~1/5程度でした。現在はかなり値上がりしているので財布に厳しいです。
- コアを2個使用すると重くなります。ケーブルに負荷をかけない取付方法の工夫が必要です。
▼余談<昔と今>
アマチュア無線を始めた1965年ころは、送信機にローパスフィルタを、テレビ側にハイパスフィルターを取り付けましたが効果はなく、10W出力でもインターフェアに悩まされました。
近年、テレビ放送のデジタル化や有線化、新スプリアス対策された無線機、テレビ受信ブースターのシールド化などが進みました。
フェライトコア素材などの入手が容易になり、コモン系対策を施しやすくなり、ようやくインターフェアから解放されるようになってきました。
アマチュア無線を楽しむにはいい時代になったと感じています。
次の写真は1986年頃に購入した『トロイダル・コア活用百科』です。隅から隅まで読みあさり、正に活用しました。
当時、ようやく市販されるようになったアミドン社のコアを入手して、フィルターやバラン作りなど、見よう見まねで作りました。
新版が出版されているようですが、今もこの本は手放せません。
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『トロイダル・コア活用百科』 1986年9月第6版CQ出版KK |
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